007最新作『ノータイムトゥダイ』感想
007最新作、『NO TIME TO DIE』見てきました。
とりあえず感想を言うと、ダニエル・クレイグ主演のボンド作品での最高傑作ではないかと思いました。
テーマ、オマージュ、静と動、緩急、アクションの質、カーチェイス、銃撃戦、人間ドラマ、どれをとっても一級品で、これまでの007作品を軽く凌駕する出来栄えでした。最高に面白かった!
以下ネタバレ注意。気になる人はここで読むのを中断して劇場へ行ってください。
まずこの映画、台詞回しが良いです。
OPはビリー•アイリッシュが歌う「No Time to die」意味はまだ死ぬべき時ではないです。字幕でも繰り返し表示されます…が、とある悪役を殺すときに口から出る台詞は、「Time to die…」死ぬ時よ。痺れるぅ〜タイトルの台詞回しきたかぁ〜と思う他にも、「ただの数字です」のやり取りや「気に障った?」の仕返しなど、本当に粋な台詞回しが多いです。言葉は同じ、でも意味が違うって気づくとハッとする使い方で、感動してしまいました。
戦闘、アクション、カーチェイス、対話、どれも一級品です。ちなみに、とある射撃シーンはセットで表したまんまコレ笑
オマージュとリスペクトが素晴らしい笑
オープニングが始まる前の戦闘から、中盤、そして終盤まで。この映画は前作スペクターを超える160分以上の超大作でしたが、中ダレするシーンは一切なし。緩急が絶妙です。緊張→緩和→展開→収束→緊張の程よいアップダウンで、見るものを飽きさせません。場面の切り替えや登場人物の絡みなど、見終わってしまえばあっという間の没入感で、見るものを飽きさせません。
ちなみに、この映画はたびたび延期されていました。コロナのパンデミックの絡みももちろんありますが、劇中の話もなんとウイルスで、世界で何万人も死なせることができる生物兵器でした。まさにコロナと丸かぶりの内容(苦笑)これも多少関係しているんじゃないかと邪推しました笑
そして新たな007の存在です。旧来の主人公ポジションを奪った新キャラは大体の場合、主人公の引き立て役になることが多いんですよね。最初はかっこいいけど徐々に間抜けな姿を晒し、「やっぱり主人公はこっちだよね〜」って引き立て役の噛ませになるのを私は心配していました。低レベルな脚本家は、主役の引き立て役として使い潰しがちです。
白人ばかりの映画業界にちょっと配慮して黒人を起用しました、またポリコレに配慮して女性にしましたって感じの起用なんだろうか、頼むからそんなことはしないでくれーとちょっと心配していましたが、杞憂に終わりました。
新007はとても優秀で、安易な主役の引き立て役にならず、台詞回しも粋な準主役として活躍していました。これは本当に良かったです。
そして今回のテーマは愛かなと思いました。あのボンドに子供ができるなんて。そして例の生物兵器によって一生会えないと運命が定められたとき、愛する人のために自分の身を捧げることができる、簡単なお涙頂戴ではなく、しっかり下地が張り巡らされていたからこそ、生かされる流れでした。
今回のジェームズボンドは、一つの時代の終焉と集大成かなと思いました。
これまでの007は『ダンディーなイケおじ007が→出会った美女とロマンスを交わしながら→Qが作った秘密ガジェットと、とっさの機転で危機を乗り越え→世界に害を与える悪を滅ぼす』と言ったテンプレ様式美映画であり、ボンドガールはあくまでイケおじ007の添え物という形でした。
それが、愛する者の為に我が身を捧げるという今までの007らしからぬ綺麗な幕引き。
スペクターの遺産も綺麗に掃除し、残した禍根もさっばり流し、ジェームスボンド007の要素を綺麗にまとめて昇華したような、そんな感覚になりました。
多分これはダニエル・クレイグのボンドだからこそできた感じがします。
ショーン・コネリーやピアース・ブロスナンのボンドでは多分似合わないし、出来なかったでしょう。
伏線も説明も綺麗に全てまとまってる、本当に綺麗にまとまった映画でした。近年の007作品の中でも本当に面白かった傑作映画です。
他にもトヨタのランクルがイギリス車のレンジローバーを蹴散らしたり、日本の畳や造園が出てきたり(砂地に1本1本線を引いてる!?)、007の土下座が見れたり、能面が出てきたりwノータイムトゥダイ、めちゃくちゃいい映画でした。